はじめに

好決算で発表翌日はストップ高。でも、それから1週間、株価はどうなってた?
結論から言うと、ストップ高は1日で終わりました。それでも1週間後の終値は、発表前をまだ上回っています。そして、そのあとまた動きがありました。
2026年7月28日、カプコンが2027年3月期第1四半期の決算を発表しました。中身は大幅な増収増益。株価も翌日に大きく反応しました。
- 発表翌日(7/29)はストップ高。前日比+19.84%
- ただし上がったのはこの1日だけで、そこから5営業日続落
- 発表前の終値と5営業日後(8/4)を比べると+10.00%
- ところがその後2日で切り返し、8/7終値は4,149円。年初来高値まであと80円
まずは、この2週間の値動きを順に見ていきます。
市場の声(株価編)
決算の開示は7月28日15時40分。東証プライムの大引けは15時30分なので、今回の発表は大引けの10分後、つまり引け後の発表でした。この日の終値3,529円(前日比+10円、+0.28%)には、まだ決算は織り込まれていません。
個人的にカプコン株のホルダーでもあるので、この決算発表からの値動きはいつも以上に追っていました。以下がその記録です。

| 日付 | 終値 | 前日比 | 出来高 |
|---|---|---|---|
| 7/28(火) 発表前 | 3,529円 | +10円(+0.28%) | 334.5万株 |
| 7/29(水) ストップ高 | 4,229円 | +700円(+19.84%) | 1,755.5万株 |
| 7/30(木) | 4,107円 | -122円(-2.88%) | 661.3万株 |
| 7/31(金) | 3,964円 | -143円(-3.48%) | 545.2万株 |
| 8/3(月) | 3,888円 | -76円(-1.92%) | 348.6万株 |
| 8/4(火) 5営業日目 | 3,882円 | -6円(-0.15%) | 248.8万株 |
| 8/5(水) | 3,840円 | -42円(-1.08%) | 233.9万株 |
| 8/6(木) | 3,942円 | +102円(+2.66%) | 290.2万株 |
| 8/7(金) | 4,149円 | +207円(+5.25%) | 309.7万株 |
動きは大きく3つに分かれます。まず7月29日のストップ高。前日比+700円、+19.84%で高値引けとなり、出来高は前日の約5.2倍にふくらみました。営業利益が市場予想を大きく上回る着地だったと伝えられており、これが好感された形です。
次にそこからの5営業日続落。下げ幅は-2.88%→-3.48%→-1.92%→-0.15%→-1.08%と徐々に小さくなり、出来高も1,755.5万株から233.9万株まで減って、発表前の水準(334.5万株)を下回りました。急騰したあとの利益確定売りに押されたとみられ、熱がゆっくり抜けていく形でした。このシリーズでは、発表前の終値から5営業日後の終値までを「発表から1週間」として毎回そろえて見ています。今回それにあたるのが8月4日で、ちょうどこの下げの途中。発表前の3,529円と比べると+353円、+10.00%でした。
そして8月6日・7日の切り返し。+2.66%、+5.25%と2日続伸し、7日の終値4,149円はストップ高だった7月29日の終値4,229円まであと80円。落ち着いたはずの出来高も309.7万株まで戻りました。発表前と比べると+17.57%です。

+19.84%は翌日1日ぶん、+10.00%は8/4まで、+17.57%は8/7まで。どこで区切るかで、同じ値動きがぜんぜん違う数字になります。
同じ時期、市場全体はどうだったのか。期間をそろえて日経平均と並べると、こうなります。
| 期間 | カプコン | 日経平均 |
|---|---|---|
| 発表翌日(7/29)の1日 | +19.84% | -1.49% |
| 発表前→5営業日目(8/4) | +10.00% | +2.55% |
| 発表前→8/7 | +17.57% | +5.20% |
発表翌日だけは市場と逆に動き、そのあとは市場全体も上げている期間のなかでの上昇でした。
プロの側の反応も、この間に出ていました。7月29日には野村證券が目標株価を3,600円から4,200円に引き上げたと伝えられ、7月30日付では岡三証券がレーティング「強気」を継続し、目標株価を4,200円から5,300円に引き上げたと報じられています(出典:SBI証券サイト掲載「7月31日の動意株」、ウエルスアドバイザー社)。
一方、8月6日・7日の切り返しについては、はっきりした材料が見当たりません。この2日間、カプコンからの新しい開示はなく、証券会社の目標株価の変更も出ていませんでした。市場全体では、AI・半導体関連が売られる一方でゲーム株など非AI銘柄に買いが向かったとの見方も出ています(読売新聞「読売333」の分析ほか)。ただ、8月7日の日経平均は-0.12%とほぼ横ばいで、カプコンの+5.25%はそこから明らかに突出していました。
まとめると、発表をはさんだこの2週間は「翌日に大きく動いて、5営業日かけて落ち着いて、そのあともう一度買われた」という形でした。上がりっぱなしでも、下がって終わりでもありません。
決算の中身も見ておく
株価の話が続いたので、反応のもとになった決算そのものも見ておきます。2027年3月期第1四半期(連結)の主要数値は以下の通りです。
- 売上高:約704億円(前年同期比+54.7%)
- 営業利益:約411億円(同+66.9%)
- 経常利益:約415億円(同+81.1%)
- 親会社株主に帰属する四半期純利益:約292億円(同+69.2%)
通期予想は2026年5月13日公表の数値(売上高2,100億円・営業利益830億円)を据え置きましたが、この通期営業利益予想に対する1Q時点の進捗率は49.9%で、過去5年平均の1Q進捗率34.8%を大きく上回るハイペースです。
主役は、過去作が支えるリピート販売
カプコンの決算には「リピート販売」という区分があります。その四半期に出した新作ではなく、すでに発売済みのタイトルが売れ続けているぶんのことです。セールでの値下げや、シリーズ新作の話題をきっかけに、何年も前の作品が改めて買われる。あれがここに入ります。
カプコンがこの四半期(4〜6月)に売ったゲームは2,381万本(前年同期1,416万本)。このうち2,126万本(同1,336万本)がリピート販売、つまり過去作でした。
では過去作が勝手に売れているのかというと、そうではありません。決算資料が挙げているのは、新作や新しい話題が、そのシリーズの過去作まで動かしたという例ばかりです。
- 『バイオハザード レクイエム』(前期2月発売)が累計800万本を突破。あわせて『RE:4』『RE:2』など過去作の販売も続伸した
- 『モンスターハンターワイルズ』の大型拡張『アセンダンス』の2027年発売を発表したところ、同シリーズの過去作が販売本数を伸ばした
- 2019年発売の『デビル メイ クライ 5』が、新型ゲーム機への展開と映像作品との連携により累計1,400万本を突破
新作が出る、拡張が発表される、アニメになる。そのたびにシリーズ全体へ関心が戻り、何年も前の作品まで売れる。9割という比率の中身は、この循環です。
そして今期の新作が、完全新規IPの『プラグマタ』(2026年4月17日発売)。全世界で250万本を突破し、決算資料が増収増益の要因としてまず名前を挙げていたタイトルです。カプコンにとっては、この先リピート販売を支える側に回る新しい持ち駒が1本増えたことになります。
なお『鬼武者 Way of the Sword』は、決算短信の本文にはなく、カンファレンスコール資料に発売日9月4日予定として記載されているだけでした(シリーズ累計920万本)。発売日をめぐる経緯については、以前の#02で詳しく書いています。
ゲーマー目線で見ると
89.3%が「過去作が売れているぶん」だと書きましたが、僕はその内側にいる人間です。なぜ同じシリーズを何度も買うのか、当事者として書いておきます。
そもそも僕がバイオハザードにハマったきっかけが、ゲームキューブで出た1作目のリメイクでした。オリジナルではなく、リメイクから入っている。
カプコンのリメイクは、REシリーズ然り、その時代に合った作品に作り直してきます。原作といい意味でぜんぜん違うものになるので、原作を知っていてもまた遊びたくなる。僕はオリジナルのバイオをひと通り遊んだうえで、リメイクのほうも全部ハマってやっています。同じ話を、二度も三度も楽しんでいるわけです。
加えてカプコンは、PSNのセールでも常連です。バイオやモンハンの名前を見かけない月のほうが少ない。しかも次の世代のハードが出ても、過去作が遊べる状態が保たれています。VRやスマホまで含めれば、据え置き機を持っていない人にも入口がある。新しいファンが入ってきやすい形になっているのだと思います。
逆転裁判も似ています。こちらは定期的にやり直したくなるシリーズで、細かいところを忘れた頃に、また最初から始めてしまう。
『123』はGBA、『逆転検事1&2』はDSで遊んで以来ずっと触っていませんでしたが、最近PS4でやり直しました。『456』と『大逆転裁判1&2』も買ってあって、こちらもまた忘れた頃に始めるつもりでいます。

ついでに書くと、2025年から巡回している「大カプコン展-世界を魅了するゲームクリエイション」にも行ってきました。歴代タイトルのコンセプトアートや原画、パッケージグラフィックがまとめて並ぶ展示です。いまは会期の合間にあたり、次は2026年12月8日から2027年2月28日まで、滋賀の佐川美術館で開催予定になっています(公式サイトの開催概要より)。

思い出に残るシリーズを何本も持っている会社だから、ファンが定期的に戻ってくる。リピート販売の中身って、たぶんこういうことなんだと思います。
ちなみに『ヴィレッジ』は、トロフィーコンプリートまでやってレビュー記事も書いています。
まとめ
カプコンは昔の作品を現役のまま置いておくことに、かなり力を入れている会社です。リメイクで作り直し、新しいハードにも載せ、セールで手に取りやすくする。その積み重ねが、10本のうち9本が過去作という比率になって出てきているのだと思います。
ただ、この循環にはタネが要ります。新しく話題になる作品が出て、はじめて過去作にも人が戻ってくる。今期それにあたったのが『プラグマタ』でした。
次のタネが『鬼武者 Way of the Sword』になるのかどうかは、9月4日を過ぎれば見えてきます。シリーズ累計920万本が、そこからどう動くのか。久しぶりの新作でシリーズに戻ってくる人がどれだけいるのか、一人のプレイヤーとして楽しみにしています。
よくある質問
- Q通期の業績予想は今回の決算で上方修正されたの?
- A
据え置かれました。2026年5月13日公表の売上高2,100億円・営業利益830億円という通期予想は、今回の1Q決算では変更されていません。ただし、この通期営業利益予想に対する1Q時点の進捗率は49.9%で、過去5年平均の1Q進捗率34.8%を大きく上回るハイペースです。上方修正が無かったこと自体は、決算の中身の良し悪しとは別の話です。
- Q「ストップ高」ってどういう状態?
- A
東証には、1日に株価が動ける幅の上限(値幅制限)があります。その上限まで上がって、それ以上は上がらなくなった状態がストップ高です。カプコンの場合、前日終値が3,529円だったので上限は+700円。7月29日はその上限いっぱいの4,229円まで買われ、しかもその上限の値段のまま取引を終えました(高値引け)。
- Qリピート販売比率89.3%とはどういう意味?
- A
決算期間中に販売したゲームソフトのうち、旧作を含む継続販売分が占める割合のことです。今回のゲーム販売本数2,381万本のうち2,126万本がリピート販売にあたり、比率は89.3%で四半期ベースの過去最高を更新しました。新作単発の勢いだけでなく、過去に発売したタイトルが売れ続けていることを示す数字です。
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📮 調べてほしいネタ、募集中です。「あのニュースの時、株価ってどうなってたの?」みたいなお題があれば、X(@esto_okuma)のリプや、この記事のコメントで気軽にどうぞ。採用した回では「調査依頼」としてクレジットさせてもらいます。






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