はじめに
日本一ソフトウェア開発・販売のPlayStation 5 / PlayStation 4 / Nintendo Switch版が2023年7月27日に発売したゲーム、『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』(別名:流行り神1、英語名:Hayarigami: Keisatsucho Kaii Jiken File)のPS5単独ダウンロード版をクリア&プラチナトロフィー取得(フルコンプ)しました。
プレイして良かったと思う点、気になった点について正直に書いていきます。
※直接的なネタバレは避けていますが、気になる方はご注意ください。
| 発売日 | 2023年7月27日(PS5版) |
| 原作発売日 | 2004年8月5日(PS2版) |
| ジャンル | 都市伝説ホラーアドベンチャー |
| プラットフォーム | PlayStation 5 / PS4 / Nintendo Switch |
| 開発元 | 日本一ソフトウェア |
| 発売元 | 日本一ソフトウェア |
| 価格(単独DL版) | 各2,178円(税込) |
| 価格(パック版) | 6,578円(税込) |
本作はPS2版が初出の都市伝説ホラーアドベンチャーで、これまでに『流行り神Revenge 警視庁怪異事件ファイル』(PS2、2005年)、『流行り神PORTABLE 警視庁怪異事件ファイル』(PSP、2005年)、携帯アプリ版(2007年)、DS版(2009年)と数多くの機種に移植されてきた名作シリーズの第1作目です。今回のPS5版は、DS版で追加された「隙間録」をはじめ、これまでの移植版で追加されてきた要素を統合した完全版として発売されています。
販売形態にも特徴があって、パッケージ版は『流行り神1・2・3パック』として3作品まとめての販売ですが、ダウンロード版はタイトルごとに単独で販売されているのがポイントです。単独版にはそれぞれプラチナトロフィーが用意されているので、トロフィーを集めたい方はパック版ではなく単独版を個別に買うのがおすすめになります(パック版だとプラチナは1個だけです)。
総評・評価

PS2時代の名作ホラーADVが、最新機種でプラチナトロフィー付きで遊べる!
シナリオの完成度は20年経っても色褪せません。
原作からおよそ20年を経てPS5に移植された本作ですが、オカルト/科学で視点が切り替わる独特の分岐システムと、都市伝説をモチーフにしたシナリオの作り込みは今プレイしても十分に面白く、ホラーADVとしての魅力を改めて実感しました。一方で、当時のUI設計をほぼそのまま持ち込んだことによる不便さや、リプレイ時のテンポを削がれる場面もいくつかあって、そのあたりは現代的な視点だと気になる部分です。
以下に良かった点をまとめます。
以下に気になった点をまとめます。
3.9/5.0
参考プレイ時間:約22時間(トロコンまで)
流行り神シリーズについては以下の作品をプレイ済みです。
- 真 流行り神 – PSVita、2014年発売
- 真 流行り神2 – PSVita、2016年発売
- 真 流行り神3 – PS4、2021年発売
良かった点
分岐シナリオの完成度が高い
本作最大の魅力は、やはりオカルトルートと科学ルートでまったく違う真相が提示される分岐シナリオです。ひとつの事件を2つの理屈で解き明かす構成になっていて、どちらを選んでも「なるほど、ここに繋がるのか」と納得させられる作りに仕上がっています。シリーズの原点である本作が20年経った今でも評価され続けている理由は、この分岐の丁寧さに尽きるなと感じました。
中でも特に心を動かされたのが第2話「鬼」でした。展開の大枠は同じはずなのに、ルートを変えるとその出来事の見え方がまるっきり別物になる構成になっていて、「同じ事件をここまで違う角度で見せられるんだ」と素直に感心させられました。どちらが真実ということではなく、それぞれの立場で納得感のある真相が立ち上がってくるので、読み終わったあとに両方のルートの余韻がしばらく残るんですよね。

最近のマルチエンディングADVは分岐の数が多すぎて個々の密度が薄くなってしまうことが多い印象ですが、流行り神1は数を絞って1本1本を丁寧に描いているので読後感がしっかり残ります。シナリオ重視でADVを選ぶ方にとっては、今プレイしても十分に「面白い」と言える内容になっていると思います。
クリア後のサブシナリオで本作ならではの怖さが味わえる
本編をクリアするとアンロックされる、キャラクター別のサブシナリオ群が、本作の「怖さ」を一番体感できるパートだと感じました。
特に印象に残っているのは、生徒視点で夜の学校を探検するシナリオです。主人公が警察官ではなく、怪異に対処する手段を持たない一般人なので、危険に遭遇してもひたすら逃げるか隠れるかしかできないんですよね。この「手も足も出せない無力感」が、本編のルート選択で真相を暴いていくタイプの流れとはまったく違う種類の恐怖を生んでくれて、夜の校舎という舞台設定や効果音と合わさって、ページを送るのがためらわれる場面が何度もありました。

本編のシナリオは事件をロジカルに解き明かしていく比重が大きいので、感触としては「怖い」というより「気味が悪い」に寄っています。そこから踏み込んでもう一歩ストレートなホラーを味わいたい方にとって、このサブシナリオ群はかなり刺さる内容になっているはずなので、ぜひ本編クリア後に触ってみてほしいです。
音楽と味のあるイラストが世界観を引き締める
シナリオの良さを下支えしているのが、BGMとイラストが作り出す空気感です。都市伝説・怪異というテーマに合わせた不穏な音楽が常に鳴っていて、テキストを読むだけのサウンドノベル形式なのに、BGMだけで場面の温度がガラッと変わる瞬間が何度もありました。
イラストもいかにも2000年代中盤のホラーADVらしい、少し粗さを残した味のあるタッチで、これが逆に都市伝説の生々しさにかなり効いています。最近のゲームで見かけるような整いすぎた絵柄だと、かえって「怪異」という題材の生っぽさは出にくかったと思うので、このテイストのまま残してくれたのは本当に嬉しい判断でした。

PS5版ではグラフィックが原作から高精細に再処理されているので、昔の味を残しつつ現代のテレビで見ても荒く感じない絶妙なバランスに仕上がっています。音楽・イラスト・シナリオが噛み合った結果、「古いゲームを掘り起こして遊んでいる」というより、「ひとつの完成したホラー作品を味わっている」という感覚でプレイできる一本でした。
気になった点
チャート分岐から直接ジャンプできないUI
本作はルート分岐を前提にしたゲームなのに、チャート画面から任意の分岐に直接ジャンプする機能が用意されていません。これが一番気になった点でした。
分岐ツリー自体は可視化されていて「どの選択肢でどのルートに入ったか」は一覧できるのですが、「ここからやり直したい」と思ってもその場所に飛べないので、結局は章を最初から読み直す必要があります。最近のADVならほぼ標準装備の機能なので、全ルート回収が前提のゲームでこれがないのはかなり不便に感じる場面が多かったです。

回避策としては、分岐の直前でこまめにセーブデータを分けておくのが有効でした。章ごとに選択肢別のセーブを残しておけば、後から戻る作業はかなり楽になります。ただプレイヤー側でこうした運用を強いられる時点でUI的には古さを感じる部分で、20年前のゲームとはいえここだけは現代風に手を入れてほしかったなというのが正直な感想です。
強制的にテキスト送りが遅くなる演出がリプレイで気になる
スキップ速度そのものは特別遅いわけではないのですが、本作にはところどころ強制的にテキスト送りを遅くする演出が入ります。これが何度も同じ章を読み直すことになる本作の構造と噛み合っていなくて、リプレイのテンポを削がれる場面がちょこちょこありました。

雰囲気を出すための演出だというのはよくわかりますし、そこまで頻出するわけでもないのですが、全ルート回収のために2周目・3周目と既読を飛ばしていく段階になると、同じ箇所で毎回同じテンポに落ちるので「ここだけスキップで素通りしたい」と何度か思ってしまったのが本音です。
1回1回は数秒単位の話なんですが、プラチナ取得のように全ルート回収を前提に遊ぶと、こうした強制減速の積み重ねがじわじわ時間を削ってきます。リプレイ前提のADVとしては少し惜しいポイントだなと感じました。
真・流行り神シリーズとは怖さの方向性が違う(好みが分かれる)
これは「悪い」というより好みが分かれる部分なので先に書いておきますが、本作の怖さは真・流行り神シリーズとはタイプがまったく違います。真の方は事件現場や怪異の描写でドンと驚かす直接的な怖さが前面に出てきますが、旧1作目の本作はテキストの行間からじわじわ来る怖さが中心。同じシリーズタイトルでも体感がかなり違うので、真の怖さを期待して入るとちょっと拍子抜けするかもしれません。

もうひとつ違うのが、作品全体のトーンです。真・流行り神シリーズはたまにおふざけ要素が挟まって息抜きできる瞬間があったんですが、旧1作目はそういう寄り道がほとんどなく、最初から最後まで至って真面目に都市伝説と向き合う作りになっています。
繰り返しになりますが、これはどちらが良い/悪いという話ではなく、好みの問題です。じわじわ系のホラーや真面目なミステリーADVが好きな方には旧1作目の空気が合うはずですし、息抜きしながらわかりやすい怖さを楽しみたい方には真の方がフィットすると思います。本作と真を遊ぶときに「同じシリーズだから感触も同じ」と思って入らない方が、どちらも素直に楽しめると思います。
まとめ

真流行り神から入ったシリーズファンが、20年前のPS2時代の1作目を最新機種でプラチナ付きで遊べる時代が来るなんて、嬉しい限りです!
『流行り神 警視庁怪異事件ファイル』のPS5単独版は、古いUIの不便さを抱えつつも、分岐シナリオの完成度とサブシナリオで味わえる怖さがしっかり残っている一本でした。20年前のゲームがベースなので現代基準で見ると厳しいところもあるんですが、原作のテイストを尊重した結果と考えれば、そこも含めて楽しめる内容だと思います。
僕は真・流行り神シリーズ(1・2・3)は全作プレイ済みでしたが、旧シリーズは今回が初プレイでした。旧シリーズの1作目を最新機種でしかもトロフィー付きで遊べるというだけで、シリーズファンとしてはかなり嬉しい体験です。PS Storeでは単独版がセールになっていることもあるので(僕もセール中に購入しました)、気になった方はセール時期を狙って1から順番に手を付けてみるのもアリだと思います。
流行り神1・2・3パック(パッケージ版)はこちら!
トロフィーについて
プラチナ取得における一番の難関は、ゴールドトロフィー「「流行り神1」全制覇」です。トロフィーの説明は「全章全ルートクリアを達成した。」と書かれていますが、実質的には全章の既読率を100%にする必要があります。
既読率100%を狙う上で厄介なのが、先述のチャート分岐の不便さに加えて、前の選択肢が数回分岐を辿った後の展開に影響しているケースがあることです。数自体はそんなに多くないのですが、どの選択肢がどこまで先の展開に効いてくるのかが遊んでいる側からは判別しにくいので、「選択肢を選んだ直後にロードして別ルートをすぐ試す」ような回し方をしていると、影響の出る展開を通り過ぎずに飛ばしてしまって、未読のままだと気付けないことがあります。
一方で、章内に挟まるセルフクエスチョン(自己質問)の選択肢は、結末部分だけが既読率に影響する仕様のはずなので、そこに至る途中の選択肢については基本的に気にしなくて大丈夫です。既読率100%を狙う上で本当に注意すべきなのは、前述の「先の展開に効いてくる選択肢」だと押さえておくのが良いと思います。
プラチナを目指す方におすすめしたいのは、周回プレイはなるべく通しでプレイすることです。選択肢を選んだ直後にロードして別ルートをすぐ試す、という回し方は避けて、影響が出る範囲まで通して読むように意識するだけで、未読の取りこぼしがかなり減ります。
自分はプラチナトロフィーまで約22時間ほどかかりました。ご参考まで。

よくある質問
- Qパック版と単独版、どっちを買うべき?
- A
トロフィー効率を重視するなら単独版がおすすめです。1・2・3それぞれにプラチナトロフィーが付くため、3作全部プレイすればプラチナが3個手に入ります。パック版(パッケージ版)はプラチナが1個だけなので、価格重視で3作通しで遊びたい方向けです。
- QPS2版やDS版との違いは?
- A
PS5版はDS版で追加された「隙間録」をはじめ、過去の移植版で追加されてきた要素を統合した完全版です。グラフィックも原作から高精細に再処理されているので、今から遊ぶならPS5版が決定版と言える内容になっています。
- Qプラチナトロフィー取得にかかる時間は?
- A
僕の場合は約22時間でした。最難関は全章既読率100%を要求するゴールドトロフィー「「流行り神1」全制覇」で、周回プレイはなるべく通しでプレイして既読を丁寧に積んでおくのが効率的です。




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